学習障害について(LD)



知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち特定のものを学んだり、行うことが困難な状態が学習障害の定義とされています。

大きな障害として、読むこと、書く事につまずきの大きい「ディスレクシア」と呼ばれる障害があります。
知的障害はなく、日常会話などにも支障はありません。
しかしながら、文字で書かれた文章を読ませると、たどたどしい読み方しかできず、文字を書くときも、形が似ている別の文字と間違えてしまったりします。

読むことがうまくできない子どもは、書くことにも困難が伴うことが多いのが特徴です。
学習障害の約8割はこのディスレクシアであるともいわれています。

この他に計算方法が覚えられない「算数障害」やまとまりのある文章として話せない「話すことの問題」や、話されたことばが理解できない「聞くことの問題」算数の文章題、証明問題などができない「推論することの問題」などがあります。

学習障害の場合は、本人は一生懸命学習に取り組んでいるにもかかわらず、なかなか結果が伴わないため、親や先生から「努力が足りない」「真剣さに欠ける」といった誤解を受けることもあります。
そうすると本人の学習する意識も失われてしまいますので、早く障害に気づいてあげることが大切です。

学習障害障害の原因

生まれつき、脳の一部の機能が十分に働かないことによる障害と考えられています。
文字や数字を理解することが困難だという特徴がありますが、「文字の理解」については、関連する脳の働きの研究が比較的進んでいます。

ディスレクシアは、文字を理解する神経回路のどこかに不具合があるのが原因といわれており、文字を理解する機能を司る、左頭頂葉の「各回」と呼ばれる部位の影響が大きく関係するようです。

学習障害の特徴

学習障害は、大きくいえば「認知」に関わる障害といえます。
そのほとんどは、文字を認知する過程において不具合があるディスレクシアです。

しかし、学習障害のなかには、文字の認知だけでなく、数字や記号を覚えたり、数の概念を理解したり、図形や空間を認知したりすることにつまずく子どももいます。

特徴1 音読が不得意
国語の授業で、教科書を音読するときなど、スラスラ読むことができず、一字一字たどりながら読んだり、音節で区切らずに、単語の途中で切って読んだりします。
形が似ている文字「あ」と「お」、「め」と「ぬ」、「れ」と「わ」などを読み替えてしまったり、単語や行を飛ばして読むこともあります。

特徴2 文字を正しく書けない
「わ」と「れ」や、「シ」と「ツ」のように形の似ている字の判別がつかず、間違えて書いてしまったり、左右を裏返した「鏡文字」を書いたりします。
漢字になるとさらに困難になり、偏や旁(つくり)が違ったり、横棒や縦棒を多く書いたり、少なく書いたりという誤りが生じやすくなります。

文字を正しく覚えることができ、発音することもできるのに、思い出して書く事ができない場合や、文字を認知する段階で、誤った形で覚えてしまうこともあります。

特徴3 計算問題が苦手
算数でつまずくこともあります。
簡単な足し算や引き算を指を使わないとできなかったり、計算の途中でたし算をしているのか引き算をしているのかわからなくなったりします。
繰り上がりや繰り下がりのある計算や、暗算を苦手とする傾向にあります。

特徴4 図形の理解が困難
図形を見て、同じ形のものを選んだり、同じ図形を書き写し有りすることが難しい場合があります。
特に立体の図形を読み取ることが難しく、見えない部分がどうなっているのかを想像することができないようです。

特徴5 文章題が解けない
算数のなかでも、特に文章題を不得意とします。
文章題の場合、文章を読んで、問題の意味を理解しなくてはならず、ディスレクシアがあると、つまずいてしまいます。
また、問題の意味は理解できても、答えを導くためにどのような計算式を立てたらよいのか、使い分けが的確に行えない、というケースもあるようです。

学習障害の診断

小児神経科や児童精神科の専門医、心理学の専門家などに相談しましょう。

医師が診察する場合は、こどもとの面接、親から得られる情報(出産歴、発達歴、既往歴、学校または家庭での様子)などに基づき、知能検査の結果なども踏まえて診断されます。
このとき注意欠陥障害や自閉症ではないかなどの鑑定も重要です。
合併がないかどうかのチェックをする必要もあります。

学習障害の治療

脳の働きを治療によって改善させることはできません。
脳の働きが不十分な部分については、別の機能で補う方法が効果的です。

文字を読むことに困難があり場合は、教科書を親などが音読し、それを録音して、繰り返し聞いて覚えさせる、といった対処法があります。
また文字を書く事が困難なケースでは、授業中の先生の話しをボイスレコーダーなどで録音し、持ち帰って内容を確認できるようにするとよいでしょう。
どちらにしても、学校などの協力が必要不可欠です。

相談窓口

高知県  地域福祉部  療育福祉センター
   
こどもの成長・発達に関して相談できる窓口

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