自閉症について



自閉症の大きな特性として、下記のようなものがあげられます。
1.ことばの発達の遅れ
2.他人とコミュニケーションをとったり、共感し合ったりすることが困難
3.特定のもの・場所・行為への強いこだわり

このような行動特性は3歳ごろまでに目立ちはじめます。

全体の約8割が知的障害を伴いますが(IQ70未満)、残りの2割は知的な遅れが目立たないことから「高機能自閉症」と呼ばれています。
以前は自閉的傾向が見られても、知的な遅れが目立たないケースでは、「自閉症」と診断されないことがしばしばありました。
ここ最近になって高機能自閉症が認知されるようになったことで、診断のつくケースが増えるに伴い、自閉症患者数も増加傾向を示すようになっています。
実際は自閉症の子どもが増えているわけではなく、昔は診断されなかったのが、現在では自閉症と診断されるケースが増えてきた、というのが実情でしょう。


自閉症の原因

自閉症の原因は、完全に解明されているわけではありませんが、脳機能の障害であることがわかっています。
そして脳機能がうまく働かない原因には、複数の遺伝子の変異が関連していると考えられています。
自閉症を引き起こす遺伝子の変異はおそらく、受精卵の段階から存在しているものであり、「生まれつき」のものと言えるでしょう。
遺伝子が深く関わっていることから、一卵性双生児のひとりに自閉症がある場合、もひとりも自閉症となる確立が高い(40~98%)と報告されています。

自閉症は親の躾の問題だという誤った認識を持たれていたこともありましたが、後天的な環境によるものではなく、生まれつきの障害であることを理解していただきたいですね。

自閉症の特徴

自閉症のこどもにはよく見らる行動特性があります。
ただし、すべての自閉症児に同じような行動特性が見られるのではなく、個人差があります。
また、ここでご紹介している行動特性のいくつかが当てはまるからといって、必ずしも自閉症であるということにはなりません。
もしかして? と不安に思われる方は専門医の診断を受けられることをおすすめします。

特徴1 ことばが遅い
2~3歳になってもことばを発さないなど、明らかな遅れが見られます。
ことばを話さないだけでなく、身ぶりや手ぶりを使うなどのコミュニケーションを自発的に行おうとしません。

特徴2 目を合わせない
他者と目を合わせようとしないのも、自閉症の特徴です。
これは赤ちゃんのときに気づくことが多いでしょう。
通常生後2~3ヶ月になると、親が顔をのぞき込むと視線を合わせて、じっと親の顔を見つめたりするものですが、自閉症の場合は、それが見られません。
笑いかけたり、あやしたりしても、笑ったり、喜んだりする反応もありません。
おなかがすいたり、おむつが汚れたりしたとき、泣いて訴えることもあまりなく、親への愛着行動もみられないことが多いようです。

特徴3 特定のものへの執着
時間割や道順、物の位置、動作や作業の手順、行う場所など、さまざまなものに対するこだわりが見えます。
生活スケジュールなどもパターン化しているほうが安定した気持ちで取り組むことができるようです。
習慣化されたことを変更したり、予定外の事態が発生したりすると、不安や緊張が高まって、パニックを起こす場合もあります。

特徴4 感覚過敏(あるいは鈍麻)
音や光、温度、触られたときの感じ方など、独特の感覚をもっています。
きらいな音が聞こえると大声をあげたりすることもあります。
聞こえ方の違いから、他の人にはなんでもない音であっても、その子にとってはひどく不快なものであるからだと考えられています。
また、頭をなでられたり、肩に手を置かれただけでも、激痛を感じたりします。

特徴5 指差ししない
自閉症の子どもは、ほしいモノがある場合、指差しをして要求を伝えることがあまりないと言われています。
その代わり、手首などをつかんで、ほしいものがある場所まで引っ張っていく行動が多く見られます。
自閉症のこどもの場合、他者の考えや気持ちを想像することが難しく、自分のほしいものを相手に伝えなければわかってもらえない、ということが理解できません。
従って、自分がしてほしいと思ったことは、いちいち伝えなくても、わかってもらえているはずだ、という思い込みが強いのです。

特徴6 常同行動(繰り返し行動)
視覚・聴覚・触覚・味覚などの働き方がふつうの人とは異なっています。
さらに独特の感じ方によって与えられる刺激が好ましいものであるため、同じ刺激を受け続けようと、行為や動作を繰り返し行うことがあります。
よくみられる常同行動には、手をひらひらさせる、手をパチパチたたく、つま先立ちで歩く、上半身を前後に揺らす、ぴょんぴょん飛び跳ねる、などがあげられます。
これらの行動は、他人の目には奇妙に映るため理解してもらえないことが多いですが、子どもが特定の刺激を受け続けたがるのには、きちんとした理由があります。
その多くは、緊張や不安を強いられたり、不快な思いをさせられたときに、状況から逃れたいという気持ちのあらわれなのです。
常同行動がみられたときには、ストレスを感じているのだと、気づいてあげてください。

特徴7 細部にこだわる
細部にこだわわる傾向があるのも、自閉症の特徴のひとつです。
例えば、おもちゃのミニカーを与えると、ミニカーを片手に持ち、もう片方の手で、タイヤをくるくる回転させ、その様子を熱心に見入る子がいます。
「車のおもちゃ」と捉えて遊ぶのではなく、構造の一部分のみに注目しているのです。
このほかにも、掲示物が傾いているのががんできず、はがして直したり、机の位置が1センチでもずれていると気になってしょうがない、といったこともあります。

特徴8 流水・回転するものが好き
常同行動の一種ともいえますが、流れる水や、木漏れ日のようなチラチラした光、扇風機のように回転するものを好む傾向があります。
水道の蛇口から流れる水をじっと見入ったり、木の葉の間から見え隠れする光をいつまでも見続けたりします。
こういった行動は、視覚的に受ける刺激へのこだわりだと考えられています。

特徴9 呼んでも振り向かない
名前を呼ばれたり、声をかけられたりしても振り向かいないことがあります。
これも音の聞こえ方が異なっているため、呼ばれていることに気づかないのが原因だと言われています。

特徴10 迷子になりやすい
外出先で親とはぐれて迷子になってしまうことがよくあります。
関心の向くものを見つけると躊躇なくそちらに行ってしまうからです。
親とはぐれたらどうなるか、ちおう状況判断ができず、こうした行動をとってしまのだと考えられています。
ふつうは親とはぐれると泣いたり、探したりするものですが、自閉症の場合、ひとりきりでも平気でいられるケースが多いのです。

特徴11 パニックになりやすい
感覚花瓶のため、耐えられないほど不快な音があったり、人に触れられたときの痛みを感じたりして、パニックに至ることがあります。
また、強いこだわりがあるので、熱中していることを妨げられることを嫌がります。
子どもがパニックを起こすときは、なんらかの原因があるはずです。
どんなときにパニックを起こすのか、子どもの様子を常日頃からよく観察することによって、防げることも多いでしょう。

自閉症の診断

自閉症の診断は、児童精神科や小児神経科の専門医が診察したうえで行います。
診断の手がかりになるのは、子どもの発達歴、ふだんの家庭や幼稚園、保育園、学校などでの様子、診察室での問診やこどもの様子を観察することなどです。

もし診察を受けられるのなら、下記のものを持参していくと良いでしょう。
・母子健康手帳
・育児日記
・保育園・幼稚園で使っている連絡帳
・小学校の通知表
・検診の検査結果
・小児科医師からの紹介状

自閉症の治療

治療の柱は療育と呼ばれるものです。
自閉症の原因となっている脳障害を根本的に治療する方法は、現時点ではありません。
しかしながら、通常に働いている部分に適切な働きかけを行うことで、うまく働いていない機能を補うことはできます。
子どもの生活上の困難を減らし、適切な行動がとれるよう教育的な援助を行う方法を「療育」といいます。

療育は、指導や訓練を罪かなせることによって、子どもの考え方や行動を、よりよい方向へ変えていく治療方です。
すぐに効果が現れる方法ではありませんが、根気よく続けていくことで、社会適応力を身につけることが期待できるでしょう。

相談窓口

高知県  地域福祉部  療育福祉センター
   
こどもの成長・発達に関して相談できる窓口

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